スーパー耐久シリーズ

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ニュース: 2023.7.5

第2戦 富士24時間大会の振り返り / 第3戦 SUGO大会のプレビューレポート

5月26日(金)~28日(日)に静岡県の富士スピードウェイで開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2023 第2戦『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』から約1ヶ月強。シリーズ名称も新たになったENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONEは、第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』を迎える。

 

今回の『SUGOスーパー耐久3時間レース』は、コース長が短いこともありグループ1(ST-X/ST-Z/ST-1/ST-2/ST-Q(#32、#271))、グループ2(ST-4/ST-5/ST-Q(#28、#61))というふたつのグループに分かれての3時間耐久レースとなる。“セミ耐久”とも言える距離で、スプリントの要素を含んだレースが楽しめるはずだ。なお今回はST-3クラスはお休みとなる。

そんな一戦を前に各クラスの第2戦を振り返りつつ、第3戦を展望しよう。

 

ST-X

FIA-GT3規定車両で争われるST-Xは、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースには5台がエントリーした。予選では、2022年のこのレースのウイナーであり、強力なドライバーラインアップを揃えた#1 HELM MOTORSPORTS GTR GT3がポールポジションを獲得。プロドライバーとジェントルマンドライバーの乗車でしばしば順位の変動はあったものの、#1 HELM MOTORSPORTS GTR GT3が首位を守っていた。
しかし、スタートから11時間が近づこうかというタイミングで#1 HELM MOTORSPORTS GTR GT3はブレーキトラブルに見舞われてしまう。レース後半、優勝争いは序盤接触であわやのシーンがあった#14 中升 ROOKIE AMG GT3、そしてこのレースで強さをもつ#819 DAISHIN MPRacing GT-R GT3の争いに変化していった。
ただ、#819 DAISHIN MPRacing GT-R GT3はレース途中の赤旗中断の影響もあり、終盤にジェントルマンドライバーが乗ることに。残りわずか23分というところで、プロが乗る#14 中升 ROOKIE AMG GT3が逆転し、僅差の24時間レースを制することになった。ROOKIE Racingにとっては、スーパー耐久シリーズでの初優勝となった。
迎える第3戦SUGOは、第2戦をスキップした#23 TKRI松永建設AMG GT3が復帰し6台での争いとなる。このコースで比較的相性が良いのはメルセデスAMG GT3で、#23 TKRI松永建設AMG GT3、そしてウエイトは載るものの、#14 中升 ROOKIE AMG GT3にとってはシリーズの趨勢をつかむチャンスとも言える。また#31 DENSO LEXUS RC F GT3にとっても相性が良いコースだ。
とはいえ、#1 HELM MOTORSPORTS GTR GT3、#819 DAISHIN MPRacing GT-R GT3にとってもシリーズの流れを取り戻すためには負けられないレース。また今回エヴァンゲリオンレーシングとのコラボレーションカラーで臨む#202 EVA RT TEST TYPE‐01 KCMG NSX GT3も注目が集まるだろう。3時間レースだけに、ジェントルマンドライバーの負担も大きい。例年接戦となっているため、今季も楽しみなレースとなりそうだ。

ST-Z

今季大きな注目を集めているST-Zクラスは、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースに10台が顔を揃えた。各車に多くの豪華ゲストドライバーが参加しさらなる話題を呼んだが、ST-3クラス参戦時からこのレースで強さを発揮している#52 埼玉トヨペット GB GR Supra GT4が、ポールポジションからレースをリード。2位に5周差をつけ優勝を飾った。
一方2番手争いは熾烈な戦いとなり、#21 ベンチャー投資のファンディーノ Audi R8 LMSや#22 Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSが争ったが、争いのなかで2台の接触もあり、#22 Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSはラジエターを破損。#21 ベンチャー投資のファンディーノ Audi R8 LMSは2位、3位には#885 シェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVOが食い込むことになった。
迎える第3戦は、富士でクラッシュに見舞われた#555 REVISION AMG GT4は参戦しないが、9台が参加する。もともとメルセデスAMG GT4の相性が良いコースではあったが、2022年はGRスープラGT4が優勝を飾っている。その点ではGRスープラGT4を走らせるチームが有力ではあるが、2台ともにウエイトが載りはじめている。2022年に2位に入った#22 Porsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CSが富士での雪辱を果たせるか注目したいところだ。

ST-Q

スーパー耐久機構が認めた開発車両が参加することができるST-Qクラスは、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースに6台が参加した。カーボンニュートラル燃料を使い初登場となったTeam HRCの#271 CIVIC TYPE R CNF-Rはトラブルを乗り越え見事完走。同じくカーボンニュートラル燃料で参加した#230 Nissan Z Racing Conceptも快走をみせ、ST-Z最上位と同じ周回数を走り切った。
また、同様にカーボンニュートラル燃料を使って2022年から継続して参戦している#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept、#61 Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptとも、ST-4車両を大きく上回るスピードをみせフィニッシュ。2周差で#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptが先着している。またバイオディーゼル燃料を使用する#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptも見事24時間を走り切った。
これらの代替燃料を使ったレーシングカーたちは排気量や車格等もさまざまだが、24時間レースという過酷な場で、カーボンニュートラル実現、そして未来のモータースポーツに向けた可能性を証明したと言えるだろう。
そして大きな注目を集めたのは#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept。この大会から世界初の液体水素を使用しての初レースに挑んだが、当初から予定されていたポンプ交換をのぞけばほぼトラブルなく完走。技術的困難に立ち向かい、自動車の未来を示した。
迎える第3戦SUGOは、残念ながら#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptはさらなる開発のため参戦せず、第4戦オートポリスに向けた開発が進められている。代わって第3戦SUGOには、#32 ORC ROOKIE GR Yarisが参戦予定。未だ止まらぬGR Yarisの開発が第1戦鈴鹿でも行われており、今回もさらなる開発が進められるはずだ。
そして、#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptと#61 Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptの戦いは第3戦のグループ2におけるハイライトになりそう。今季はST-4車両を大きく上回るスピードをみせており、グループ2の最上位からスタートする可能性もある。
また参戦2戦目となる#271 CIVIC TYPE R CNF-Rも、第2戦からどんな進化を遂げているかが楽しみなところ。こちらはグループ1からの出走となるが、ST-2クラス車両に対してみせるスピードのレベルも期待したいところだろう。なお、#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは今回“お休み”となる。

ST-1

今季は開幕戦からST-1クラスは#2 シンティアム アップル KTMと#47 D'station Vantage GT8Rという2台による戦いが続いている。第1戦では#2 シンティアム アップル KTMのトラブルもあり#47 D'station Vantage GT8Rが優勝を飾ったが、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースではきっちりと#2 シンティアム アップル KTMが優勝を飾り、ランキングでもトップに立った。
第3戦の舞台となるスポーツランドSUGOはテクニカルで、#2 シンティアム アップル KTMのドライバーたちは「得意ではない」とも言うが、地力のスピードに優っており、熾烈な戦いが展開されるかもしれない。

ST-2

ST-2クラスは、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースでは5台が参加した。公式予選では#6 新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10がポールポジションを獲得。レースでは2022年チャンピオンで、富士24時間でも優勝を飾っていた#225 KTMS GR YARISが追い上げをみせトップに浮上するが、ミッショントラブルに見舞われてしまう。
代わってトップに立ったのは#13 ENDLESS GR YARISで、#6 新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10を下し優勝を飾った。これでランキングでも首位に浮上している。
第3戦SUGOも5台が参戦することになるが、2022年はST-2の開催自体が“お休み"だった。また2021年はグループ2のなかで争われており、グループ1で争われる今季は事前のデータが少なく予想がしづらい。2021年に優勝したのは#225 KTMS GR YARISだが、#13 ENDLESS GR YARISとともにAドライバーのタイムペナルティがあるはず。これがどう影響するだろうか……?

ST-4

今季盛況のST-4クラスは、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースには7台がエントリー。豪華な顔ぶれのゲストドライバーを含め熾烈な戦いが予想された。しかし、このクラスで数多くのタイトルを誇る#884 シェイドレーシング GR86が小動物と接触する不運を原因とする火災に見舞われてしまったり、#86 TOM'S SPIRIT GR86がクラッシュに見舞われるなど、波乱含みのレースとなった。
そんな一戦を制したのは、#60 全薬工業 G/MOTION'GR86。しっかりと614周を走り切り優勝を飾り、2位には#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFが食い込んだ。3位には老舗の粘り強さをみせ#18 Weds Sport GR86が入っている。
第3戦では、#216 HMRスポーツカー専門店86が戦線に復帰し8台でのレースとなる。開幕2戦でポイントを重ねられなかった#86 TOM'S SPIRIT GR86、#884 シェイドレーシング GR86、また今季必勝を期して参戦した#3 ENDLESS GR86にとっては落とせないレースとも言える。熾烈なレースとなるのは間違いないだろう。

ST-5

最大の激戦区であるST-5クラスは、12台のエントリーで第2戦富士SUPER TEC 24時間レースが争われた。ポールポジションを獲得したのは#50 LOVEDRIVE ロードスターだったが、序盤トップに立った#17 DIXCELアラゴスタNOPROデミオがトップを守り、24時間レースを制することに。ランキングでも首位に立った。2位には、第1戦鈴鹿でクラッシュに見舞われた#72 OHLINS Roadster NATSが入った。3位は#65 odula TONE 制動屋ロードスターが獲得している。
第3戦SUGOでは、#110 ACCESS COURAGE VITZが加わり13台がエントリーした。スポーツランドSUGOではここ2年はマツダ・ロードスターが強い。とはいえ、上位から下位までが僅差なのがこのクラスの最大の特徴。タイトなSUGOでどのチームが栄光を掴むだろうか。

 

 

 

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