◆ Round1決勝レポート
スーパー耐久シリーズ第3戦の決勝レースが、5月30日(日)に鈴鹿サーキットで開催され、ポールポジションからスタートを切った、谷口信輝/柳田真孝/イムラン・シャハラム組のNo.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEが優勝。3戦連続で表彰台の中央に立つこととなった。
決勝日の早朝に行われたフリー走行は、雲ひとつない好天の下で行われた。日差しが強く、そのことは厳しいレースとなることを予想させもした。ここでトップタイムをマークしたのはNo.1 PETRONAS Z4。唯一2分13秒を切る12秒894を記録し、日曜日の滑り出しも上々と言ったところ。
しかし、決勝ではART TASTE GT3の、予想を遥かに超える逆襲を受けることとなった。今回は立川祐路がスタートを担当し、No.28 PETRONAS Z4の片岡龍也にいきなり襲いかかる。1コーナーでインを刺し、立川は2番手に浮上。その後、片岡は抜き返すのだが、立川はぴたりと食らいついて離れず。その間にNo.1 PETRONAS Z4の谷口は逃げて、いったんは3秒以上のリードを築くが、バックマーカーに行く手を阻まれ、差を詰められたのを立川は見逃さなかった。
11周目の1コーナーで、立川は再び片岡を抜いた勢いで、今度は谷口にも迫る。強烈なトラクションとハイパワーを武器に、ストレートで差を詰め続けて17周目の1コーナーでは、ついにトップに浮上! ポルシェ997の高い可能性を、改めて示す光景だった。
とはいえ、タイヤへの負担は極めて大きく、22周目にはART TASTE GT3が早々とピットイン。タイヤを4本交換して清水康弘にバトンを託す。26周目にNo.28 PETRONAS Z4はメルビン・モーに交代し、No.1 PETRONAS Z4は谷口信輝に交代。清水は再び2台の間に割って入って周回を重ねることとなった。一時は清水との差を詰め続けていたモーながら、その最中に黄旗提示区間での追い越しが。10秒ストップのペナルティが命じられてしまう。
そして、モーは37周目にピットへ滑り込んでくる。その直後にクラッシュした車両がダンロップコーナーに横たわったため、セーフティカーが導入されることに。そのため、大量の遅れをとることだけは回避された。逆に谷口は22秒ほどあったリードをSCランで失うこととなるが、その最中に清水との間に4台のバックマーカーを挟んでいたこともあって、リスタート後に逆転を許さなかったばかりか、さらに差を広げることにも成功する。
67周目、谷口はピットに戻ってシャハラムと交代。大量のマージンを渡すことになったが、実はピットに止まる際にエンジンが止まらず、これが作業違反との判定になってしまう。そして、残り5周となった83周目にドライビングスルーペナルティを行うこととなるが、1分以上もマージンがあったため、30秒ほどをロスしただけでレースに復帰。そのままシャハラムは危なげない走りを見せて、最初にチェッカーを受けることとなった。
2番手争いは終盤も激しく繰り広げられた。清水から竹内浩典へのバトンタッチは53周目で、モーからファリーク・ハイルマンへのバトンタッチは61周目。再びART TASTE GT3が前を走ることとなったが、No.28 PETRONAS Z4もすぐ背後に。徹底的にガードを固め続けた竹内ながら、先にタイヤを交換しているため、ポジションをキープし続けることは許されなかった。72周目のヘアピンでハイルマンが前に出て、その後は振り切ることに成功。3戦連続でPETRONAS Z4はワンツーフィニッシュを飾ることともなった。
一方、またも3位に甘んじたART TASTE GT3ながら、一時はトップも走れたことから、ドライバーの表情は明るかった。「鈴鹿でこれだけやれたなら、次の富士は絶対行ける!富士で勝たなきゃどこで勝つの、って感じ」と立川が語っていたほど。
ST-2クラスでは、予選トップだったRSオガワ☆ポッカADVANランサーが、序盤のレースをリードした。「10秒ぐらいのリードも築けたし、久々に鈴鹿でトップを走れて気持ちよかった」と語るのは阪口良平。27周目に大橋正澄に交代すると、次の周には2番手を走行していた、エンドレス・アドバン・コルトスピードXの峰尾恭輔もピットイン。RSオガワよりも短い作業時間で村田信博をコースに送り戻すが、ポジションを入れ替えるまでには至らなかった。
だが、その後のSCランでせっかくのマージンを奪われ、エンドレスが背後を走るようになり、また57周目の花岡翔太への交代とともに行われたタイヤ交換では、フロント右のタイヤがなかなかはまらないハプニングも。これで10秒ほどロスしてしまう。そして、その2周後にエンドレスもピットに。マシンに乗り込んだのは、Cドライバーとして起用された山内英輝ではなく、峰尾だった。素早い作業にも後押しされて、トップでコースに復帰する。
峰尾を必死に攻め立て、時にラップタイムでは優った花岡ながら、相手のガードも固く、なかなか逆転を許されない。そんな光景が続く中、花岡はスプーンでST-1車両に追突されてしまう。
ダメージを負わずに済んだのは不幸中の幸いだったものの、そのまま逃げ切られてしまう。そして、エンドレスが今季初優勝。
「非常に厳しいレースでした。本当は山内にも乗ってもらいたかったけど、本当に切羽詰まったレースだったし、クルマも最後の方は万全ではなかったので……。だけど、やっと勝ててよかった。このままRSオガワに連勝されていたら、モチベーションはものすごく下がっていたでしょうね」と峰尾は一安心の様子。
3位は冨桝朋広/関豊組の新菱オート☆DIXCEL☆エボが獲得。「直線が厳しくて辛かったんですが、完走できた上に表彰台に上がれて良かった」と冨桝。森永チルミル☆RSオガワADVANランサーは序盤3番手を走っていたが、ミッショントラブルでリタイアとなった。
ST-3クラスでは予選3番手のFINA ADVAN BMW M3が、いつものようにオープニングラップのうちにトップに浮上。伊橋勲が早々とリードを築き、逃げていった。その後方ではTAITEC TRACY NSX の植田正幸、DIAMANGO-Zの影山正彦による激しい2番手争いが繰り広げられていた。満タン時が厳しいNSXは4周目に影山に抜かれるも、軽くなるにつれ、植田が再び差を詰めていく。
だが、29周目の植田から川口正敬への交代の際、エアジャッキがなかなか上がらぬトラブルが。これでロスを抱えた上に、DIAMANGO-ZはSCラン中に石原将光へと交代。これでロスを最小限として、35周目に三澤伸輔への交代を済ませていたFINA M3をも抜いてトップにも躍り出た。それでもSCラン明けには三澤もスパートをかけて、石原を逆転。その後、池田に早々とスイッチしたこともあって、DIAMANGO-Zは3番手に。
TAITEC NSXの川口は、FINA M3の三澤にも迫る勢いを見せたが、SC後のリスタート時に違反があってドライビングスルーペナルティを課せられてしまう。これで池田は2番手に上がり、再びTAITEC NSXに乗り込んだ植田の追撃も振り切ることとなった。
そういった激しい後方での順位変動を尻目に、FINA M3のラストスティントを担当した廣田秀機は、難なく逃げ切ることに。
「淡々とレースしていたというより、僕が何も起こさなかったから勝てたんだよ(笑)と伊橋。これが今季初優勝となった。
ST-4クラスでは、特許リジットカラーS2000の市嶋樹、BOMEX with CarXs S2000の青木孝行が揃ってスタートダッシュに遅れてしまう。代わってトップに立ったのはホンダカーズ東京G/Mインテグラの塩谷烈洲。これを無限CIVIC SSR TEIN ATS ENDLESS Tam Tamの松井隆幸が、3周目にかわしてトップを奪い取る。だが、バトルはなおも続き、5周目には塩谷が再びトップに。その後、無限CIVICにはエンジントラブルが発生、徐々に遅れを取ることに。
一方、BOMEX S2000の青木は周を重ねるごと順位を上げ、9周目には2番手に。そして19周目には待望のトップにも躍り出る。山下潤一郎への交代もSCランの間に行い、これで後続に1周近いリードを築くことにも。市嶋〜松井猛敏へのリレーを11周目に行っていた特許リジットカラーS2000は、そのため順位を下げていたが、松井の追い上げもあって服部尚貴にバトンを託した時には2番手に。
BOMEX S2000には、その後アクシデントが続出した。ドライバー交代の際に、メカニックもシートベルトを外すのを手伝ってしまい、それがピット作業違反の判定に。これでドライビングスルーペナルティを取られてもなお、トップを守っていたが、64周目のピットストップでタイヤ交換に手間取り、しかもきっちりボルトが締まっていなかった!
これで特許リジットカラーS2000の服部がトップに立ち、青木も必死に追いかけたものの、右リヤのタイヤから振動が。ボルトの緩みがハブに影響を及ぼしてしまったのだ。これでもう一度BOMEX S2000はピットに入ることとなり、4番手へと後退。逃げ切った特許リジットカラーS2000が、久々の優勝を飾ることとなった。
「青木のペースが速いから、こっちも頑張らざるを得なくて、実はギリギリだったんだ、壊れる一歩手前というか。でも、勝てて本当によかった」と服部。2位は塩谷/太田侑弥/吉橋孝之組のホンダカーズ東京G/Mインテグラが獲得。そして、3位は3連勝こそならなかったものの、きっちり表彰台に上がった浅野武夫/笠原智行/森正行組のコスモソニック21 FK ings DC5。ポイントランキングのトップも死守することとなった。
また、初めてバトルが繰り広げられたST-5クラスは、金森哲也/脇田一輝組のS.B.寿IDI安井自動車Vitzも一時トップを走ったものの、元祖の貫禄見せた河野利尚/植島禎一/松村孝也組のTSK ☆ Vitz-RSが優勝。また、しっかりとポイントを積み重ねた。
ウィナーのコメント
No.1 PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
谷口信輝
「今日は面白かったですね、ポルシェも速かったし。まさか片岡も柳田も抜かれてくるとは思わなかったけど(笑)。セカンドスティントは僕の担当になったので、イムランにたくさん貯金渡そうと思っていたから、ものすごくプッシュしました。頑張りましたけど、ピットでエンジンが止まらなかったんですよ、いつもどおりバーンと止めて、切ったはずなのに。それで作業違反をとられちゃったんですけど、幸い貯金があったんでね。まぁ、負けてもおかしくないレースでしたけど、勝って終われて良かったです」





